みなさん、「健康寿命」って聞いたことありますか?
簡単に言えば「元気に自立して生活できる期間」のこと。
人生100年時代、ただ長生きするだけじゃなく、どれだけ元気でいられるかが、これからの社会のテーマです。
今回は、2021年の1人当たり県民所得と2019年の男女別健康寿命をもとに、都道府県ごとの関係性を分析してみました。
そこには、性別の違い、地域の特性、そして意外な「逆転現象」が隠れていました。
【図1】男性の健康寿命と県民所得(東京都除く)

【図2】女性の健康寿命と県民所得(東京都除く)

この2つのグラフは、横軸が「1人当たり県民所得(万円)」、縦軸が「健康寿命(歳)」を示しています。赤色は富山県です。
男性は「所得と健康寿命」がある程度連動
男性のグラフでは、県民所得が高い県ほど健康寿命も長い傾向がはっきり出ています。
これは、所得が100万円高いと健康寿命が0.8歳ほど延びる計算です。
特に、滋賀(75.6歳)や山梨(75.1歳)、鹿児島(74.3歳)などが上位に。
一方、女性の健康寿命には、所得はほとんど影響していないのです。
なぜ「健康寿命が高い県」は西や中部に多いのか?
上位県(男女いずれかが特に高い)
| 都道府県 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 宮崎県 | 74.3歳(6位) | 76.9歳(1位) |
| 鹿児島県 | 74.3歳(5位) | 76.2歳(10位) |
| 三重県 | 73.2歳(28位) | 76.9歳(2位) |
| 山梨県 | 75.1歳(2位) | 76.1歳(11位) |
| 静岡県 | 74.2歳(9位) | 76.5歳(6位) |
これらの県に共通するのは、「バランスの良い食生活」「歩く習慣」「コミュニティの強さ」など、生活習慣や社会的つながりの質の高さです。
例えば山梨県は、
- 医療機関の受診率が高く、
- 野菜・果物の摂取量が全国トップクラス、
- さらに自治体の健康支援が充実しています。
静岡県も、
- 気候が温暖で外出・運動がしやすく、
- 地域のつながりやボランティア参加率が高いことが背景にあると考えられます。
一方で「健康寿命が低い県」に共通する課題とは?
下位県(男女のいずれかが低い)
| 都道府県 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 京都府 | 73.3歳(24位) | 72.6歳(47位・最下位) |
| 愛媛県 | 72.7歳(33位) | 74.0歳(40位) |
| 岩手県 | 72.1歳(42位) | 74.7歳(34位) |
中でも注目すべきは京都府の女性健康寿命が全国最下位(72.6歳)という点です。
これは少し意外な結果かもしれません。なぜなら京都は文化都市のイメージが強いからです。
京都府の特徴(厚労省データより)
- 女性の喫煙率が全国平均より高め
- 地域活動参加率がやや低め
- 医療依存傾向が高く、予防行動が相対的に少ない
愛媛や岩手も、
- 高齢単身世帯が多く孤立しやすい
- 交通事情により「歩く習慣」が根付きにくい
- 地域医療や福祉のカバー範囲に課題が残る
などの要因が指摘されています。
富山県の立ち位置
では、富山県はどうでしょうか?富山県のデータはこちら:
- 男性:72.6歳(34位)
- 女性:75.4歳(25位)
- 所得:331.6万円(全国8位)
県民所得は非常に高いにもかかわらず、健康寿命はそれほど高くないというギャップが見られます。
これは、
- 雪国による冬季の運動不足
- クルマ社会による歩行習慣の弱さ
- 長時間労働とストレス
- 地域活動や余暇の偏り
などが複合的に影響していると考えられます。
おわりに:健康寿命は「地域の文化と習慣の写し鏡」
今回の分析からは、
- 男性は「経済(所得)」との関連が強く、
- 女性は「生活習慣・地域社会との関わり」の影響が大きい
- 健康寿命が長い県には、「日常を楽しむ文化」が根付いている
ということが見えてきました。
健康寿命は、医療や食だけでなく、暮らし方・働き方・地域のつながり方の総合点。
若いうちからそれに気づき、行動できる地域や人が、これからの社会を元気にしていくのかもしれません。





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